LO-FI STYLE - Lo-fi Music Portal Site

3Pointz

3Pointz, Beatmaker / Label owner from Amsterdam the Netherland
(日本語/Japanese Translation)

July 04,2023

音楽レーベル”ANARKICK BEATS RECS”を運営し、ビートメーカーとして自身の作品をリリースするだけでなく、他のレーベルやアーティストとのコラボレーションも積極的におこなう、アムステルダム在住の3Pointzに、音楽活動やオランダの音楽シーンについて話をうかがった。

Mental Position – まずは、簡単に自己紹介をお願いします。

3Pointz – こんにちは。ネルソン aka 3Pointzです。アムステルダム在住ブラジル出身の音楽プロデューサー、そして、ドラマーです。音楽制作は20年以上ですが、”3Pointz”としてのプロジェクトはまだ2年です。これ(3Pointz)以前にも多くのプロジェクトを手がけてきました。Hip Hopは、Beastie Boys、DJ Krush、そしてRage Against the Machine(とくにヴォーカルのZack)と出会った90年代からずっと、常に自分の情熱を駆り立ててきました。それに根っからのバスケットボール好きなので、僕の血にはHip Hopカルチャーが流れているんだと思います。

MP – “Anarkick Beat Records”は、あなた自身、つまり、3Pointzが運営しているレーベルなのでしょうか?レーベルのサウンドは主にBoomBapやLo-fi的な雰囲気を感じますが、このレーベルの特徴やテーマがあれば教えてください。

3Pointz – レーベルは僕の運営です。このレーベルでは、ファンキーなJazzスタイルのHip Hopや、Lo-fiなサウンドをリリースしています。特に90年代のHip Hopカルチャーやそれらに影響を与えた70年代のファンキーなサウンドにこだわっています。

MP – このレーベルにはBugseedやPigeondustのような日本人ビートメーカーもラインナップされていますが、こうしたアーティスト達はどのように探しているのでしょうか?

3Pointz – リサーチは沢山しています。子どもの頃からビデオゲームが好きなので、日本への興味は尽きないです。だから日本のビートメーカーも探していて、彼ら(Bugseed、Pigeondust)を見つけたときには、すぐにコンタクトを取りました。3Pointzやレーベルのスタイルを気に入ってくれたので、すぐにリリースの話を進めました。

MP – コンピレーションアルバムの”Elements”には、日本のビートメーカーBeatgistをはじめ、他の国からも、スイスのowae.gaやUKのMike Flipsなど様々なミュージシャンが参加していますが、彼らとはインターネットを通じてつながったのでしょうか?

3Pointz – そうです。色々な国の人とのつながりもありましたし、bandcampなどでアンダーグラウンドなHip Hopアーティストを常に探していました。

MP – AnarkickレーベルのカバーデザインはどれもMPCスタイルのデザインで、”ANARKICK BEAT RECS”の文字が良い感じにパッドとマッチしていますね。あのデザインもあながた手がけたのでしょうか?

3Pointz – アイコニックなMPCをベースにロゴを作るのは以前から考えていましたから、いい感じのデザインになりました。よく他の人からも良いと言われますし、すごく気に入っています。

MP – 日本には意外とオランダのシーンについて情報が入ってこないのですが、SP-404やAKAIのMPCなどのサンプラーを使うビートメーカーのシーンはオランダにもあるのでしょうか?以前よりも流行は落ち着いてきましたが、Low End Theoryの流れを汲んだようなビートミュージックのトレンドがオランダにも存在していますか?

3Pointz – そうですね、こちらにも盛り上がっているシーンがあります。Propo 88、Ell maticやBlabbermoufといったビートメーカ、MC達が活躍しています。

MP – “Lo-fi”というキーワードについておうかがいします。これは以前のFKやMarcus Dとのインタビューでも語り尽くし整理できているテーマなのですが、この何年かでトレンドや一つのジャンルとなった”Lo-fi”や”Lo-fi Hip Hop”についてはどう思われますか?Anarkickレーベルのサウンドのように90年代のHip Hopを知るあなたなら、”Lo-fi”や”Lo-fi Hip Hop”という言葉にやや違和感を感じるのではないかと思うのですが。

3Pointz – 今の”Lo-fi”ミュージックも好きですよ。音楽が心から発せられているものである限り、スタイルが変わっていくことには常にオープンな気持ちです。それに近年、Lo-fiミュージックを聞く人はどんどん増えているし、ビートミュージックカルチャーにもいい影響になっていますからね。

MP – ヨーロッパでは、もはやコロナ禍の影響は無くなりましたが(日本では未だマスクをする人がいますが)、コロナ禍を経て音楽活動に何か影響はありましたか?活動が制限された多くのミュージシャンも、すぐにオンラインでの活動にシフトした人はコロナ禍が次の成功のステップとなったように思います。

3Pointz – 確かにコロナ禍は大きな影響がありましたが、音楽を一からフレッシュな気持ちでやろうと3Pointzのプロジェクトをスタートしました。現場でのショーができない代わりに、コレクター向けのアナログレコードやカセットテープをリリースしたことが、アーティスト生活の新しいインスピレーションとなったように思います。結果、コロナ禍でのハードな状況を良い状況へと変えることができました。回復力を鍛えるということは、人生を生きる一つの鍵なのでしょうね。

MP – トラック制作のプロセスについておうかがいします。”Beatransform LP”は、90年代のビートやサンプリングのテイストを感じられるアルバムですが、レーベル内の他のリリースと比較するとジャジーな感じで、ソリッドかつバウンシーなビートの印象があります。インスタグラムの写真を見る限り、制作にはAKAIのMPD226やRenaissanceを使用していたようですが、トラック制作にはどんな機材やソフトウェアを使用していますか?

3Pointz – 音楽制作には色々な機材やソフトを使用しています。アナログレコードからもサンプリングしますし、ベースラインなどにはMIDI機器を使用することもあります。ただ、基本的にはMPCとCubaseを使っていて、ビートのアレンジは、この組み合わせが一番気に入っています。トラック制作は自分が聞きたいと思うダイナミックなビートを心がけています。他の人がどう思うかより先に、とにかく自分が聞きたくなるものを意識します。これまで音楽にどう影響を受けてきたかを表現したいですし、なにより有名になるために音楽を作るようなことはしません。ただ音楽を作ることでハッピーな気持ちになるから音楽を作っているんです。美味しい食事をするのと同じですね。

MP – そういえば、Instagramのプロフィールには「ドラマー」という肩書きがありますが、ビートメイキングのためにドラムを叩くこともあるのでしょうか?

3Pointz – もちろん、MPCと一緒に生ドラムを叩くこともありますよ。

MP – SNSで、UKのレーベル、AE Productionsとのパートナーシップの投稿を拝見しました。実はこのレーベルについてあまり知らなかったのですが、Paul NiceやOxygenといった通好みのアーティストがラインナップにいたりしますね。このレーベルからもリリースを予定はありますか?

3Pointz – 今年中に7インチのアナログでリリース予定があります。制作自体はほとんど終わっていて、ドープな作品に仕上がりそうです。それ以外にブリストルのレーベルからもリリースを予定していますよ。

MP – それから、パリのbot’fess RECORDSからもリリースするとSNSに投稿していましたが、このレーベルからはどのような音楽がリリースされますか?フランスのシーンというと、KahlexのようなLo-fi / BoomBap系のアーティストくらいは耳にしますが、意外に日本に情報が入ってこないのが実情です。

3Pointz – bot’fessからは自分自身の作品をリリース予定です。フランスのMCのスタイルは割と好きですね。3Pointzのプロジェクトで、Jazzのテイストを取り入れたFunkyなHip Hopの曲をリリースします。夏には良い感じのシングルがリリースされますので、楽しみにしていてください。

MP – 将来、あなた自身やレーベルでコラボしたいアーティストはいますか?

3Pointz – Rage Against the MachineのZack de la rocha、Beastie Boysとはコラボしてみたいですね。DJ Krushの曲のリミックスもやってみたいですし、彼の作品をレーベルからリリースしたいという夢はあります。

MP – 最後にこのサイトや音楽ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

3Pointz – とにかく自分自身を信じ、夢に向かってほしいです。世の中、奴隷制度のような金儲け社会となってしまいましたが、お金だけが全てではありません。人生にとって一番大切なのは幸せです。幸せを探し続けて、愛する人や友達と楽しい人生を歩みましょう。時間は有限ですし、社会のシステムに従うだけの人生はやめて、自分自身の人生を生きましょう。世界を良くすることはできるはずです。音楽で世界を救いましょう!

PROFILE

アムステルダムを拠点とするビートメーカー兼レーベルのオーナー。 90年代に影響を受けたヒップホップカルチャーをベースに、自身の作品の他、世界中のビートメーカーやレーベルとコラボレーションし作品をリリースしている。